INWA COMPETITION RULES 2022
1. 概要
ノルディックウォーキングとは体力増強、リラクゼーション、レクレーション、社会活動、リハビリテーション、体重管理、一般的な楽しみや競技スポーツとしての運動である。国際ノルディックウォーキング連盟(International Nordic Walking Federation: INWA)は、この一貫した構成と基盤を競技スポーツにも提供するため、競技運営組織、競技審判員、競技者が活用できる以下の規則を設ける。
2. ノルディックウォーキングの定義
ノルディックウォーキングとは、ノルディックウォーキング専用ポールを使うことで通常のウォーキングを増進させ、年齢・性別に関係なくまた多様な身体状況で効果的に有酸素運動能力や身体能力を向上させることができる有効な身体活動である。
ポールを使用したウォーキング中、腕・足・体の動作が同調される。すべてのステップが骨盤と肩の逆方向への回旋により生まれ、この肩の回旋によって腕が前後に動作する。
3. ノルディックウォーキング競技
ノルディックウォーキング競技とは、体力向上という一番の趣旨を維持しながら、ルールに従って行われるスポーツ競技のことを指す。競技スポーツの経験を通し、適切なノルディックウォーキングテクニックを維持し、それらの運動効果を得ることが目的である。ノルディックウォーキング競技は通常のノルディックウォーキングのモチベーションを高めることになり、郊外でウォーキングする意欲を高め、自然を楽しみ、活動的な生活習慣を維持し、最終的に体力を高めることに貢献できる。
ノルディックウォーキング競技の種類
スピード:
- ノルディックウォーキングレース, (21km / 10km / 5 km)、(時間を競う)
個人と団体競技があり、ワールドカップシリーズ公式種目 - ノルディックヒルランニング (NW関連スポーツ)
- テクニックスピード競技*(非公式ワールドカップ競技)
*テクニックと時間の正確性を競う特別な競技
年齢による個人・団体カテゴリー:
- 個人競技
- 団体競技 100+ (個人競技参加者も団体競技の一構成メンバーとして登録できる。その選手は、個人・団体競技を同時に参加することになる。団体競技は4人メンバーの合計年齢が100歳以上であるこが義務付けられる。)
4. ノルディックウォーキングテクニック
INWAノルディックウォーキングレース競技規則を遵守するため、競技者は以下の点を守らなければならない。特に下線の箇所は警告になりやすいのでより注意を払う必要がある。
4.1. 腕と足は交互に自然な様態で動かすこととする。
4.2. 両足または両方のポールが同時に地面から離れる場面があってはならない。
4.3. 前方にスイングしたポール先端と反対側の踵は同時に着地しなければならない。
4.4. ポールは体側に沿って、前足つま先と後足踵の間に突かなければならない。急斜面の上り下り坂や階段は例外とする。
4.5. 身体重心は極端に低くしてはならない。
4.6. 身体を前進させるためにポールを積極的に押さなければならない。腕は伸展し、手は少なくとも体側の横までくるようにする。体側より後方へポールを押し切ることが理想である。
4.7. ポールを前方に突くとき、ポールを握っている先導の手は、体側を越えなければならない。
4.8. ポールを地面に突く際はグリップを握り、ポールを後方へ押し切る際は手を開かなければならない。
4.9. コース規定によるエイドステーションでのみ、ポールを使用しなしことが認められる。
4.10. 競技者はストラップを正しく着用しなければならない。
4.11. 競技者はビブを正しく身につけなければならない。
4.12. 競技者は他の競技者を故意に妨害してはならない。
5. 競技申し込み
競技への参加資格はすべてのノルディックウォーカーにあり、申込書をもって完了する。その際、大会組織に次のことを保障するものでなければならない。すなわち、レースを完結できること、また、レースに参加することで生じるすべての怪我、病気、競技者が不快に思う損傷などについては、自己責任を負うこと。
6. 競技カテゴリー
すべてのレースにおいて、次のように男女とも年齢カテゴリーを設ける。年齢はレースの日時をもって判断する。
6.1. ジュニア 20 歳以下
6.2. シニア 21 歳以上
6.3. マスター 40 - 59 歳
6.4. ベテラン A 60 - 69 歳
6.5. ベテラン B 70 歳以上
7. ノルディックウォーキングポール
ノルディックウォーキングレースでは、固定長・テレスコープタイプどちらかのノルディックウォーキング専用ポールを使用できる。ポールの長さは、身長x0.68 +/-10cm の範囲まで認められる。グリップ上部からスパイクチップの先端までを計測する。
8. 他の用具に関するルール:
8.1. 競技者は相応しい適切な服装やシューズを身につけることとする。
8.2. 審判員からの方向指示や他の競技者の声などに対して聞こえを悪くするため、イアフォンの使用は認められない。
9. 途中棄権
9.1. すべての競技者がコンディションなどレースのために十分な準備を行う必要がある。しかしながら、医学的に支障がある場合、あるいは、自身が完歩できないと考えられる場合は棄権とする。
9.2. 棄権する競技者は、審判員に取り消す旨を申告するか、または申告するよう調整する。
9.3. 棄権した競技者は、競技委員会により“DNF”(Did Not Finish)として記録される。
10. 警告および失格
警告および失格の規定として、一人の審判員の判断だけによって競技者が失格されないことを保証する。
10.1. 公平な警告や失格の決定は審判員が唯一権限を有するものとし、その決定は最終的なもので異議を認めないものとする。
10.1.1. 審判員の中から審判長を選出し、審判長は記録を行う。
10.1.2. すべての審判員は個人の能力の範囲内で行動し、目視のみで決定を下す。
10.1.3. レースの距離にかかわらず最低5名の審判員で構成する。
10.1.4. すべての審判員は独立して任務を果たし、お互いに競技について議論をしてはならない。
10.1.5. 一審判員は一競技者に対して一枚のイエローカードのみ使用できる。
10.1.6. 審判員はすべての競技者にわかるようはっきり人目につくようにする。
10.2. 競技者が明らかにノルディックウォーキングで用いられるテクニック(第4項参照)に従わなかった場合、審判員によって警告イエローカードが出される。
10.3. 競技者が以下のことを行った場合、失格とし審判員によってレッドカードが出される。
10.3.1. 決められたコースから逸脱したとき。
10.3.2.審判員の指示に従わないとき。
10.3.3. 審判員や他の競技者へ暴言を吐いたり暴力を振るったとき。
10.3.4. 乱暴な行為、不適切な行動をとったとき。
10.3.5.イエローカードが3枚に達したとき。3枚のイエローカードが失格となるレッドカードに相当する。
10.4. 失格までの手順
10.4.1. すべてのイエロー/レッドカードは、競技者に直ちに告知されその理由が伝達される。記録係となる審判長にイエロー/レッドカードの情報を報告する。競技者がイエロカードを与えられた場合、ビブにはっきりと印をつける。
10.4.2. 2枚のイエローカードを与えられた競技者にレッドカードを告知する場合、直ちにレッドカードを競技者に告知し、審判長に報告する。審判員は競技者に競技中止を言い渡しビブを回収する。
10.4.3. レッドカードが競技者に告知された場合、直ちに失格となる。
10.4.4. 失格した競技者はすみやかにレースを中止しなければならない。
10.4.5. 審判長によってスタート/ゴール付近のスコアボードに情報がアップデートされる。
11. アシスタンスステーション
11.1. エイドステーション: スタート/ゴール地点に少なくとも1つ設置され、最長40mの長さまでとする。11.2. コーチングステーション: タート/ゴール地点に少なくとも1つ設置され、最長15mの長さまでとする。
12. 破損したポール
レース中にポールが破損した場合、最寄りのアシスタンスステーションまで競技者はすべてのテクニック(第4項参照)を維持しなければならない。もし不可能だとしても、破損していないポールではテクニックを維持する必要がある。
13. 安全
13.1. すべての競技者はノルディックウォーキングテクニック以外の方向にポールを持ち上げてはならない。ただし、エイドステーションでは開催地のルール従い、その限りではない。
13.2. レース中ポールを外したいときはコースの脇で外すこととする
13.3. 特にスタート/ゴール付近での追い越しのタイミングなどで、競技者は衝突を防ぐためお互い十分なスペースがあることを確認しなければならない。